「清涼飲料水って砂糖どのくらい入ってるんですか?」
栄養指導の現場で、患者さんからよく聞かれる質問です。
実は、500mlのコーラやサイダーには 角砂糖10〜19個分 に相当する糖分が含まれています。
しかし、患者さんに数字だけ伝えても「ピンとこない」ことも多いですよね。
そこで本記事では、栄養指導ですぐに使える“聞き方・伝え方のコツ” をまとめました。
清涼飲料の砂糖量|角砂糖換算表(最新データ)
(角砂糖1個=約3gの糖質で換算)
| 飲料ジャンル | 糖質量/500ml換算(g) | 角砂糖換算(個) |
|---|---|---|
| コーラ | 約58g | 約19個分 |
| 三ツ矢サイダー | 約53g | 約18個分 |
| リンゴジュース | 約55g | 約18個分 |
| スポーツドリンク | 約31g | 約10個分 |
※「日本食品標準成分表(八訂・増補2023)」より計算。100mlあたりの糖質 × 5 で算出。
医学的根拠:砂糖入り飲料が与える健康リスク
- 肥満や生活習慣病との関連 砂糖を多く含む飲料(SSB:sugar-sweetened beverages)は、肥満、2型糖尿病、心血管疾患、さらに虫歯のリスクを高めることが多くの研究で示されています。
- WHOの推奨 世界保健機関(WHO)は、遊離糖の摂取量は総エネルギー摂取の10%未満に抑えることを推奨。さらに健康効果を期待するなら「5%未満」が望ましいとしています。
- 日本人の食事摂取基準(2025年版) 糖質そのものの上限値は設けられていませんが、炭水化物全体の摂取目標はエネルギー比率で50〜65%とされています。そのため、清涼飲料の糖分は“余剰分”として捉え、コントロールが必要です。
1. 指導のコツ:聞き方
栄養指導では「食べ物」だけでなく、飲み物を必ず確認しましょう。
✅ 「間食は控えています」と答える患者さんでも、実はジュースや炭酸を毎日飲んでいることがよくあります。
質問の工夫
- 「おやつ以外に、飲み物でよく口にされるものはありますか?」
- 「お茶や水以外に、習慣的に飲んでいるものは?」
👉 間食と飲み物はセットで聞くのがポイントです。
2. 指導のコツ:伝え方
数字と置き換え提案をセットで伝えると、患者さんの納得度が上がります。
そのまま使えるトーク例
- 「コーラをお茶に変えるだけで、1か月で角砂糖400個分カットできますよ」
- 「いきなりゼロは難しいので、まずは“週末だけ”に減らしてみませんか?」
👉 「禁止」ではなく「選択肢を残す」ことで、継続しやすくなります。
3. 清涼飲料水の代わりは?
✅ 代わりにおすすめできる飲み物
- 無糖の炭酸水(レモン味などフレーバー付きも◎)
- 麦茶、緑茶、ほうじ茶(ノンカロリー&習慣化しやすい)
トーク例
「コーラゼロの代わりに無糖炭酸水はいかがですか?自然にお茶や水に移行できますよ」
⚠️ 注意:人工甘味料入りの“ゼロ風炭酸水”はNG。必ず「無糖」と確認しましょう。
4. ゼロ飲料ってどうなの?
👂「ゼロ飲料は大丈夫ですか?」
→ 患者さんから必ず聞かれる質問のひとつ。
- ❌ コーラゼロ500ml=角砂糖0個 → 血糖値は直接上がらない
- ⚠️ しかし人工甘味料で「甘い味への慣れ」が残り、間食や甘い飲料をやめにくくなるリスクがあります。
- ✅ 長期的には肥満や糖尿病リスク増との関連を示す研究も報告されています。
👉 指導では「最終的に水・お茶へ」がゴールであることを伝えましょう。
まとめ
✅ 清涼飲料水は角砂糖10〜19個分の糖分を含む
✅ 栄養指導では「間食+飲み物」を必ず確認する
✅ 数字で示しつつ「置き換え提案」で行動変容につなげる
✅ ゼロ飲料は血糖値は上がらなくても、習慣改善にはつながらない
👉 まずは現場で、今日から取り入れてみてください!
参考文献
日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2023」
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)増補2023」
WHO. Guideline: Sugars intake for adults and children. Geneva: World Health Organization; 2015.


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